AI時代のWebライターにリアルな働き方を聞いてみた！　佐藤誠一さん対談

2025年6月14日2025年10月1日

今回お話を伺ったのは、現役ライターの ” 佐藤誠一さん” （以下、誠一さん）です。
誠一さんは、AIを駆使しつつSEO案件を手がける傍ら、最近はSNS運用代行の仕事をはじめたそうです。

そのきっかけは、今後のSEOがどうなるか不透明と感じているからだそう。
3,000記事以上のSEO記事を上位表示させてきた誠一さんは、AIを使ってどのように仕事を進めているのでしょうか？　また、今後どのように仕事を広げていくのか、現状考えていることを伺いました。

働き方に悩んでいる人や、SEOライターの現状について知りたい方はぜひご覧ください。対談相手は中村です。

佐藤誠一さんのプロフィール

AIライター兼マーケター。生成AIを多用して3,000以上のSEO記事を上位に表示させた実績を持つ。転職ジャンルが得意。運営しているYouTubeの登録者数は1.1万人。

中村昌弘さんのプロフィール

時給300円ライターで疲弊していたものの、スキルを磨き営業した結果、今は法人化。取材や書籍編集、SEOライティング、セールスライティング、サロン運営と幅広く活動中。

SEOの未来はわからない。必要なときに軸を移す準備を開始

中村

本日はよろしくお願いいたします。現在の仕事内容について、自己紹介とあわせて教えていただけますか。

ライターの佐藤誠一と申します。現在の仕事は９割がSEOで、１割がSNS運用代行です。自身のYouTubeチャンネルも運営しています。

佐藤誠一さん

中村

たしか数か月前まではSEOの仕事が中心でしたよね？　なぜSNS運用をはじめたのですか？

SEOが来年どうなっているか、予測が難しい状況だからです。仮にSEOの仕事を続けられなくなったときに、軸を移す準備が必要だと考えました。
幸い、Ｘのフォロワーが1.4万人ほどいるので、これを活用できないかと思いサービスとして売り出したところ、いくつかお仕事につながり始めたという状況です。

佐藤誠一さん

中村

具体的にはどのような仕事内容でしょうか？

SEOに関しては、企業様から新規メディアの立ち上げをまるっとご依頼いただくことが多いです。キーワード選定からはじめて記事の作成やサイト設計まで、SEO業務を包括的に担当するのがメイン業務ですね。
Ｘの運用も同様で、裁量権が大きい案件がほとんどです。企業様によっては、アカウントへのログインも許可してもらい、全面的に運用を任せていただいています。

佐藤誠一さん

中村

どんなジャンルの案件が多いのですか？

私自身が転職関連の記事をたくさん書いてきたため、人材紹介会社様からのご依頼が中心です。求職者を集める目的で、オウンドメディアを運営するケースですね。
たとえば「仕事つらい」といったキーワードを選定して、それに付帯する記事を執筆しています。

佐藤誠一さん

中村

SEOの新規メディアの依頼は、どのような流れでお仕事のオファーが来るのでしょうか。

細かく計測はしていませんが、おそらくYouTubeかＸを見て、そこに貼ってあるポートフォリオページに飛んで実績を確認し、お問い合わせいただくケースが多いのではないかと思います。
Ｘから直接DMでご連絡をいただくこともあります。これまで累計でどのくらいのお問い合わせがあったかは数えていませんが、20～30社くらいではないでしょうか。

佐藤誠一さん

もちろん、キャパシティの問題でお受けできなかった案件もかなりあります。
ただ、最近はSEOに関するお問い合わせは減ってきているのが現状です。

佐藤誠一さん

AIを使ってチームを縮小。SEOライターの働き方はどう変わる？

中村

現在もチームをつくって業務に取り組んでいるのですか？

最近少し変化がありました。実はチームをかなり縮小して、現在は私とパートナー、そして義理の姉の３人体制で業務を回しています。一番の理由は、AIの作業速度が上がりすぎたからです。
私がAIを使いメイン業務を担当し、パートナーはキーワード調査、義理の姉はWordPressの入稿作業を担当しています。AIの進化がどんどん加速しているので、ライター数人分の働きができるようになっています。

佐藤誠一さん

中村

数か月前にお話した際は、まだライターさんに依頼するチーム体制だったと思いますが、ここ最近で大きな変化があったのですね。

はい、かなり迷いました。こちらから募集しておきながら、チームのライターさんの継続依頼をやめるのは、かなり心苦しかったですね。

佐藤誠一さん

中村

SEO案件の需要は減ってきていると感じますか？

あくまで私の見解ですが、減っていると思います。SEOの需要は下がっていないと思いますが、ライターの仕事になると話は別かなと。
AIの影響で全体的な案件数は減っていますし、特定のスキルを持つライターに仕事が集中していく現象が起きていると思います。

佐藤誠一さん

中村

AIによる内製化が進み、世の中に出回るライター向けの案件数自体は減っていくでしょうね。

私のまわりでも、「キーワードを入れるだけで記事をすぐ作れるAIツール」が今、非常に多く出ています。
私たちのようなライター業界にどっぷり浸かっている人間がそうしたツールを使うと、たいていは「ちょっと違うんだよな」と感じます。
しかし、蓋を開けてみると、世の中ではそうしたツールが非常に売れているんです。企業が内製化に向かっている何よりの証拠だと思います。

佐藤誠一さん

中村

僕も、キーワードを入れるだけで、SEO記事がある程度書けるツールを使った経験があります。
たしかに気になる部分はありましたが、「これなら30分から1時間くらい記事を編集すれば、十分公開できるクオリティになるな」と感じました。

私たちSEOライターが持っている細かいこだわりが、果たして企業にとって本当に需要があるのか、自問自答することがあります。
実はそこまで求められていないからこそ、記事作成のツールが売れているのかもしれません。
すごくこだわりのあるハンバーガー屋さんが都内にたくさんあっても、結局マクドナルドには勝てない構図に似ているなと思います。

佐藤誠一さん

Ｘの運用代行から広がる新たなビジネスチャンス

中村

少し話を変えて、企業様のSNS運用についてお伺いします。以前、無料でモニターを募集されていましたよね。

はい、「３か月無料でSNSを運用します」とテストマーケティングも兼ねてＸで募集したところ、意外と反響がありました。
いくつかお問い合わせをいただき、蓋を開けてみたら、実は半数近くのお客様が「無料じゃなくていいですよ」と言ってくださったんです。
これはやってみて初めてわかったことで、非常に興味深い発見でした。

佐藤誠一さん

中村

どのような流れで仕事をするのですか？

Zoomで30分から1時間ほど面談し、実現したいことをヒアリングします。
アカウントは既にあるものの、運用する時間がない、あるいは運用していても伸び悩んでいるケースが半々くらいです。
SNSはそこまでコストがかからないので、「まずは代行をお願いして反応を見たい」と考える人が多いですね。

佐藤誠一さん

中村

クライアントはすべて法人ですか？

はい、個人も対象にするときりがないので、法人のみを対象にしました。
クライアントの規模は、１～２名で経営されている会社が２社、社員が数人ほどの会社が１社、そしてもう１社は上場企業です。

佐藤誠一さん

中村

Ｘ運用をきっかけに、例えば新規メディアの立ち上げやYouTubeチャンネルの開設といった話に繋がる可能性もあるのでしょうか。

はい、それを狙っています。まだ案件化には至っていませんが、プレゼント企画用の資料（ホワイトペーパー）作成のご依頼や、YouTubeのショート動画制作の話も出てきています。
ヒアリングを通じて、自分の持つ武器を活かして提案したいと考えています。

佐藤誠一さん

中村

SNS運用の業務では具体的に何をするのですか？

業務の９割は競合分析ですね。同じジャンルで伸びているアカウントをAIに読み込ませて、成功の法則性をChatGPTに抽出させます。
その後、ポストの文章作成が得意なClaudeに、その法則性や競合のポスト、分析データなどをすべて移管し、投稿文を生成させます。
Claudeのプロジェクト機能を使えば、スタートボタンを押すだけで一連の作業が自動で進むようにセットできます。かなり精度の高い投稿文が出力されますね。

佐藤誠一さん

中村

なるほど。それをもとにご自身でアレンジを加えていくのですね。

そうです。最終的には自分でチェックしてチューニングしたり、Canvaで画像を作成して添付したりします。文章以外の部分はまだ人の手が必要ですね。
そして月に一度、ChatGPTで運用結果を分析し、そのレポートをGeminiのスライド作成機能を使って資料にし、お客様に提出しています。この一連の流れを、朝の短い時間でこなしています。

佐藤誠一さん

中村

SEOライターのスキルと非常に相性が良いですね。

SEOで培ってきた知識を投稿につめこむ感覚なので、とても楽しく取り組めています。
SEOを軸に仕事を広げられる可能性は、まだまだたくさんあると感じますね。

佐藤誠一さん

中村

Ｘ運用をしたい企業は本当にたくさんいるでしょうね。

最近、さまざまな企業のホームページを見ていると、いまだにSNSをやっていない中小企業が本当に多いと気づきます。
例えば、20代の社員募集の求人を出しているのに、SNSをやっていない製造業の会社など、改善の余地がある企業は山ほどあります。

佐藤誠一さん

ライター業界と違って、世の中の人は私たちが思うほどAIを使っていません。
そうした認識のズレをくみ取って、少しアプローチしてみるだけで、意外とすんなり仕事につながる可能性があると思います。

佐藤誠一さん

Webライターは文章を書く仕事というより、コンテンツをつくる仕事

中村

ズバリお聞きしたいのですが、もし今、親友から「Webライターを始めたい」と相談されたら、誠一さんは何と答えますか？

難しい質問ですね。少しふわっとした答えになってしまいますが、今需要があるところ、たとえばインタビューなどをすすめると思います。
中村さんが同じ立場だったらなんと言いますか？

佐藤誠一さん

中村

私も本当に答えがわかりません……。私自身がSEOライターからキャリアを始めたので、いきなりインタビューをスタートするのはハードルが高いと感じてしまいます。
もちろん、そこから始めるのもひとつの手だと思うのですが。

中村

こういう質問をもらうと、Webライターという言葉の扱いが難しいと感じます。
実はラボのコンテンツも、SEOの講義はそれほど多くなく、営業やInstagram運用、プレスリリースなど、幅広いテーマを扱っています。
Webライター向けのコミュニティではあるのですが、この１年で「幅広くライティングを学べるコミュニティ」に変化しました。
もはや「Webライターラボ」という名前が、実態と合わなくなってきている気さえします。

わかります。AIが登場する以前から、「Webライター」という言葉の弊害は感じていました。「文章を書く仕事」と思われがちだなと。

しかし、執筆が目的になると、記事のゴールの把握や、読者への配慮が抜け落ちてしまいます。「コンテンツを作る」と捉えたほうが、Webライターの仕事の質は向上しそうに感じます。

佐藤誠一さん

中村

たしかにそうかもしれません。SEOライター、いわゆるWebライターの強みは、キャリアの初期段階からマーケティングに触れていることだと考えています。
集客のために書くという意識が根底にあるため、SNS運用やLP制作など、他の分野へピボット※しやすい。

※自分が今取り組んでいる仕事に軸足を置きつつ、別の分野に展開していくこと

中村

インタビューライターは、もちろん分野にもよりますが、文章そのものへのこだわりが強く、集客やマーケティングとは少し距離があるように感じます。
その点、SEOの素養を持っていることは、今の時代において非常に大きな強みになると思います。

SEOの知識は、LP制作など他の分野にも応用が利く、基礎的なスキルになると感じます。
だとすると、最初のキャリアとしてSEOライターを選ぶのは、決して悪い選択ではないかもしれませんね。

佐藤誠一さん

中村

ラボはSEOライターに限らず、さまざまな角度の成功事例を集めて、情報を提供する場にしたいです。誠一さん、本日はありがとうございました。