今回お話を伺ったのは、Webサイト制作の仕事に携わっている ”よしおさん” 。以前はシステム開発の企業に勤めており、2021年頃から副業でWebサイト制作に取り組みはじめました。その後はフリーランスに転身して多くのクライアントを抱えつつ、現在は講師としても活動しています。
Webライターラボは、ライターに仕事をオファーできるプラットフォーム「Webライターラボ名簿」を運営しています。このサイトを構築したのも、よしおさんです。
今では多くの実績をお持ちですが、Webサイト制作の知識は会社員時代にゼロから習得したそうです。しかも、ポートフォリオを用意せず、人との交流を通じて次々に案件を獲得してきたとのこと。「提案文で相手に具体的なイメージを持ってもらうことが大切」とよしおさんは語ります。果たして、どのような提案文を送れば依頼主から選ばれるようになるのでしょうか。
よしおさんの歩みを通じて、Webサイト制作という仕事の内容やクライアントワークのコツを教えていただきました。人脈のない状態から仲間を増やして仕事を獲得してきた手法は、Webライターである私たちにとって大いに参考となるはずです。
インタビュアーは “冨田裕子さん” です。
興味のあるかたはぜひ最後までご覧ください。
目次
専門スキルを磨くと、相手のニーズを形にできる
冨田さん
よしおさん、よろしくお願いします。最初に自己紹介をお願いします。
フリーランスでWebサイト制作の仕事をしている「よしお」です。僕は高卒でシステム開発の企業に就職し、2020年に今の仕事と出会いました。その後は副業として取り組み、2021年に20年間勤めた会社を辞めて独立しています。2025年１月時点で、フリーランス歴は５年目になりました。
よしおさん
2023年頃からはWebサイト制作の講師としても活動しており、Udemy（教材動画のプラットフォーム）で販売したコンテンツは1,200本以上売れました。この他にもオンラインコミュニティを主宰したり、YouTubeで発信したりしています。
よしおさん
冨田さん
仕事内容について詳しく教えていただけますか？
会社のホームページを作成する仕事とお伝えすれば、イメージしやすいと思います。主にWordPressを使って構築しており、僕が全体設計を請け負った上でデザイナーさんやライターさんと協力しながらひとつのWebサイトを作りあげていきます。
よしおさん
制作するサイトは多岐にわたり、ECや会員向けのサイトなど、クライアントの目的に応じてカスタマイズした上で納品しています。
よしおさん
冨田さん
仕事を請け負うにあたって、必要となるスキルはありますか？
相手のニーズを細かく聞き出して、イメージを言語化できる能力が求められます。案件によっては、クライアント自身もどのようなWebサイトを求めているのか把握していないときがあります。このような場面では、相手の漠然とした理想を深堀りして仕様を決めなければなりません。
よしおさん
この最初のステップが、Webサイトをつくるうえで一番大切です。発注者との間で完成品のイメージにズレがあると、あとで大きなトラブルに発展するからですね。そのため細かい部分まで質問するのは申し訳ないという気持ちを捨てて、相手の要望をじっくり聞き出した上でイメージを共有しています。
よしおさん
冨田さん
クライアントのニーズを正確に聞き出すためには、どのようなスキルを磨く必要がありますか？
専門のスキルを磨くことですね。僕の場合はWebサイト制作のスキルを磨くと、相手の要望を引き出す能力が自然と高まります。
よしおさん
丁寧にヒアリングしたとしても、技術的な知見がなければ相手の求める機能を実装できるのか判断できません。スキルや経験の積み重ねがあってこそ、クライアントの要望をWebサイトに落とし込めるようになるのです。
よしおさん
提案文で具体的な道筋を示して、ライバルに差をつけよう
冨田さん
どのような経緯で、今の仕事に取り組もうと決意されたのでしょうか？
2020年頃に副業の情報を集めていたとき、ビジネス関連のインフルエンサーとして活躍していたマナブさんが、Webサイト制作という仕事を紹介していました。当時の僕は毎月１万円でもいいからお小遣いを稼ぎたいと考えていたため、「自分もやってみよう！」と決意したのです。
よしおさん
しかし、実は会社員時代に勤めていたシステム開発会社では、Webサイト制作に携わる機会がまったくありませんでした。そのため、僕にとってゼロからの挑戦だったのです。そこで会社員として働きながら勉強したところ、半年間後にクラウドソーシングを通じて最初の案件を獲得できました。
よしおさん
冨田さん
どのような方法で学習したのでしょうか？
主にProgateやドットインストールという月額課金制のオンライン教材で学びました。最初に取り組んだのは、プログラミングの基本であるHTMLやCSSの言語です。とはいえ知識を増やすための学習に重点を置いたため、サイト制作のような実践的なトレーニングはそれほどしませんでしたね。
よしおさん
冨田さん
実績がないなか、クラウドソーシングでどのように営業したのでしょうか？
自分にもできそうな案件を探して、とにかく片っ端から応募していきましたね。最初の時期に取り組んだ案件は、ホームページの一部分だけを修正する簡単な仕事です。自分の技術力でもクリアできると確信できたら次々に挑戦し、徐々に難易度の高い案件にシフトして経験を積み重ねました。
よしおさん
しかし、実績が増えてからもポートフォリオをつくるのがおっくうで、提案文のみで営業を続けていました（笑）。その代わりにとても重視していたのが、提案文のクオリティです。僕がクラウドソーシングで仕事を探していた時期はちょうどコロナ禍で、多くの人が副業に取り組み始めた時期でした。そのため、ひとつの案件に80〜90件もの応募が殺到する厳しい状況だったのです。だからこそ、提案文は他の応募者に負けない完成度を目指しました。
よしおさん
冨田さん
提案文において、他の人と差別化するためのポイントを教えてください。
クライアントにゴールまでの道のりをイメージしてもらうことです。提示された要望に対して、「対応できます！」という回答だけだと相手は不安になってしまいます。そうではなくて、完成までの具体的な手順を提案することが大切です。
よしおさん
たとえば、発注者が「Webライターラボ名簿」のようなライター検索プラットフォームを要望していた場合、どのような検索機能を使って実現するのかを説明する必要があります。専門用語を使わず、誰にとってもわかりやすい内容で伝えることが大事です。その上で、ワイヤーフレーム（設計図）やデザインの作成、実装からテストまで各ステップでの動きを共有します。
よしおさん
クライアントから「なるほど！ それならできそうだな」という反応が得られれば、、発注してもらえる可能性が大幅に高まります。僕は１〜２時間ほどかけて提案文を丁寧に作り込み、誰にとってもわかりやすい文章で説明するようにしていますね。リサーチも入念に行っており、簡易的なサイトを構築して本当に実現できるのかを検証することもあるほどです。
よしおさん
このようにしっかり調べた上で応募すれば、自分の熱意がクライアントにも伝わるはずです。他の応募者に負けないことを意識した結果、案件の通過率が５割以上に達しました。
よしおさん
人との出会いが次なる仕事につながる
冨田さん
副業をはじめてから独立までの経緯を教えてください。
クラウドソーシングでの仕事を受けつつ徐々に直取引も増やした結果、同じ年には副業収入として累計で50万円を突破できました。
2021年の会社を辞めるタイミングで運良く直取引の大型案件を獲得できたため、独立初月の売上が140万円という大台に達しましたね。
よしおさん
冨田さん
直取引について、どのような手段で案件を見つけたのですか？
知人からの紹介で案件に出会いました。2022年ごろに、僕はTwitter（現Ｘ）で交流したい人を募集して、オンライン上で雑談会を開催していたのです。この企画を通じて出会った方が、のちに「こんな案件に興味はありますか？」と仕事を融通してくれるようになりました。
よしおさん
冨田さん
なぜ、多くの人と雑談しようと思い立ったのでしょうか？
特に目的があったわけではなく、単に人と話すのが好きだったからです。オンライン上で５回ほど雑談会を開催し、一度に20名以上の方と交流したときもありました。この雑談会を通じて知り合った人は、のべ300名以上に達していますね。
よしおさん
この他に人脈が広がるきっかけとなったのは、マナブさんが主宰するプログラミングのコミュニティへの加入です。このコミュニティでの活動によって、フリーランスのプログラマーとの交流が増えました。このように、雑談会とオンラインコミュニティを通じて培った人脈が今でも仕事に役立っています。
よしおさん
お茶会がきっかけでWebライターラボ名簿の制作依頼を受注
冨田さん
Webライターラボ名簿の制作依頼は、どのような経緯で受注に至ったのでしょうか？
オーナーである中村昌弘さんとのお茶会がきっかけとなりました。発端となったのは、2023年の春に中村さんがＸ上にアップした「話し相手募集」の投稿です。すかさず手を挙げたのですが、すでに先約が決まっており残念ながらチャンスを逃してしまいました。
よしおさん
しかしその後、中村さんから「一度お茶をしませんか」とお誘いいただき、直接お会いする機会を得たのです。それ以来親交が深まり、ライター検索プラットフォームに関するご相談をいただきました。
よしおさん
冨田さん
オフラインの場での交流が仕事につながったのですね。人と直接会うことにより得られるメリットを教えてください。
メリットは、自分の人間性を相手に伝えられ、仕事を受注できる確率が格段にアップする点です。もちろん、フリーランスである以上はWeb制作のスキルが受注の必須条件です。その上で、人間性や相性という要素が大きく影響します。
よしおさん
その人の人柄は、ポートフォリオを通してでは伝わりません。だからこそ、直接会って自分自身を深く知ってもらうと仕事につながりやすくなるのだと確信しています。
よしおさん
冨田さん
クライアントとの会話において、気を使っている点はありますか？
かた苦しい印象を与えないように、フレンドリーな応対を心がけています。クライアントとのやり取りが形式的になってしまうと、相手の本音を聞き出せないからです。
そこで話をしながら趣味など共通の話題を見つけて、仲を深めるようにしています。発注者との距離が縮まると、聞き出せる情報量が格段に多くなると実感していますね。
よしおさん
深刻に考えず、気楽に挑戦してみよう
冨田さん
仕事で困難に直面したとき、よしおさんはどのようにして乗り越えていますか？
あまり深刻に考えず、目の前の課題に淡々と取り組むようにしています。クライアントワークに取り組んでいると大変な局面は必ず訪れます。しかしどのような場面でも、今日の自分にできる仕事は限られているはずです。そのため、あまり一喜一憂せずに、今できる業務に取り組むことが大切です。
よしおさん
また、最悪の事態を想定して逃げ道を用意しておくと気分が軽くなります。もちろん、一度受けた仕事は、最後まで責任を持って取り組まなくてはなりません。しかし状況によっては、途中で辞退した方が双方にとって傷が浅くなる場合もあります。代理のワーカーを紹介するなど誠意ある対応は必要ですが、さまざまな逃げ道を考えておくと心理的な負担が和らぐはずです。
よしおさん
冨田さん
今後、チャレンジしたいことはありますか？
Webサイト制作の講師としての仕事に力を入れていきたいです。コミュニティ運営や動画プラットフォームでの配信を通じて、教えることの楽しさを実感しました。受託開発の案件を続けつつ、人に指導する機会をさらに増やしていきたいと考えています。
よしおさん
冨田さん
Webサイト制作への挑戦を考えている人のなかには、自分に適性があるのかわからず、不安を抱えているケースもあるはずです。これから挑戦しようと思っている人に対して、メッセージをお願いします。
あまり深く考えず、気楽に挑戦してみるべきです。人によって向き不向きがあるため、実際にやってみるまで適性があるかはわかりません。僕自身、これまで多くの人にWebサイト制作を教えてきたなかで、別のキャリアに進んだ人も数多く見てきました。そのため、興味を抱いたら実際に試してから判断した方がよいでしょう。
よしおさん
もし挑戦してみて自分に合わないと感じたら、思い切って辞めるという決断も大切です。「せっかく勉強をはじめたのだから」と我慢してしまうと、どんどん苦しくなってしまうからです。自分に合っていないと感じたら、すぐに方針転換できるくらいの心のゆとりが大切だと思います。ぜひ、気軽な気持ちで挑戦してみてください。
よしおさん
冨田さん
よしおさん、本日はお忙しいところ大変貴重なお話をありがとうございました。
ありがとうございました。
よしおさん
さいごに
今回お話を伺った ”よしおさん” のように、オンラインコミュニティ「Webライターラボ」にはWebライター以外にもデザイナーやプログラマーなどさまざまな分野で活躍する人が集まっています。
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ゲスト：よしお（@yesmyoshi）
インタビュアー：冨田裕子（@ootsuu8376）
ライター：福士智大（@dampernagano）
編集：ゆらり（@yurarigurashi）
