- ライターの仕事の幅を広げる方法がわからない
- 専門ジャンルをつくらなくても、ライターとしてステップアップできる?
- SEO記事しか書いたことがなく、今後どんな仕事をすればいいか悩んでいる
今回は上記の悩みにお答えするために、さまざまな仕事を手掛けている ”ゆらりさん” に話を伺いました。
ゆらりさんは2020年にWebライターとして独立して、1年後に月収30万を達成。その後も収入を伸ばして、現在はSEOライティングの他にインタビューやセミナー講師、書籍の編集など、さまざまな仕事をされています。
仕事の幅を広げる方法や、Webライターのキャリア形成について気になっている方は参考にしてくださいね。
目次
ブロガーを目指すもコロナの影響で収益化に難航! Webライターへ
ゆらりさん、よろしくお願いします。さっそくですが、経歴も踏まえ自己紹介をお願いします。
ライターのゆらりです。大学卒業後、新卒で民間企業に入社して、インターネット回線の営業をしていました。Webライターになったきっかけは、会社員時代に自分のケアがうまくできず、適応障害になって休職したことです。
最初の1年間はSEO記事を書いていましたが、その他にもさまざまなライティングの仕事をしました。書籍の編集、セミナー講師、企業のコンサル、インタビューなどが直近の主な仕事です。
会社をやめると決めたときは、最初からライターになるつもりだったのですか?
最初はブロガーになるつもりでした。ネット検索をして「家にいながら生活に必要な収入を得られる」というフレーズに魅力を感じたからです。
旅行記や銭湯のブログです。ただ「フランスの有名な観光スポットに行きました」のような、自己満足の記事でした。今となっては、どうやって収益化するつもりだったのか、自分でもよくわかりません(笑)
3か月ほどです。当時はコロナウイルスの影響で、
Googleアドセンス※の審査が一時的にストップしたんです。
しばらく待ったのですが、一向に再開する気配がなく「このままだとブログを仕事にするのは厳しい」と思い、Webライターに転向しました。
※Googleアドセンス:Googleが提供する広告配信サービス。ユーザーが広告をクリックすると、ブログの運営者に収益が支払われる。
ポートフォリオなしで受注した秘訣は、自分の経験を武器にすること
どのようにしてWebライターの仕事を知ったのですか?
ビジネス系インフルエンサーのマナブさんのYouTubeがきっかけです。「1年あればWebライターの仕事で独立できる」という内容を見て、挑戦する気になりました。
クラウドソーシングを使って、ミニマリストに関する記事を受注しました。「ミニマリストの本を読んで断捨離した経験」をアピールしたら、思いのほか簡単に仕事をいただけたんです。
そのときに「自分の経験をアピールすることが大事なのかも」と思ったので、その後はジャンル問わず「経験を語れる案件」に応募しました。
たとえば、テレワークにおすすめのアプリを紹介する記事や、観光スポットをまとめた旅行記事などです。
自分の経験と執筆できる内容を具体的にアピールしました。たとえばミニマリストの案件の提案文には、以下の内容を盛り込んだんです。
提案文の例
「近藤麻理恵さんの『ときめく片付けの魔法』や、佐々木典士さんの『ぼくたちにモノはもう必要ない』などの本を読んで、50袋以上のゴミ袋を出して断捨離をした経験があります。このような体験を記事に盛り込み、読者にミニマリストの考え方をお伝えできます」
逆に、「やる気があります」「24時間以内に返信します」など、意気込みだけをアピールした案件は受注に至りませんでした。
当時のゆらりさんは、ポートフォリオはつくっていましたか? 実績があったことも受注できた要因だったのでしょうか。
ポートフォリオはありましたが、ブログのリンクを載せていた程度です。公開できる記事がなくても、具体的な経験を盛り込んだ提案文が評価されたから受注できたのだと思います。
直接営業を始めてステップアップ。おすすめの営業場所は ”Wantedly”
文字単価1円前後です。1年目の後半はWantedly※を使って直接取引をするようになり、文字単価は1.5円程になりました。
※Wantedly:企業と個人を結ぶビジネスSNS。情報収集や人脈づくりの他、求人用のサイトとしてもよく使われている。
Wantedlyではどのように仕事を検索されたのですか?
職種を「ライター」、雇用形態を「業務委託」に絞って検索しました。その後は、自分ができそうな仕事に片っ端から営業していく……という流れです。
Wantedlyでは、気になる案件があったら「話を聞きに行きたい」というボタンを押すだけで企業にアプローチできます。返信をもらえたら提案文を送り、必要に応じて面接に進み、問題がなければそのまま契約に至ります。
「話を聞きに行きたい」というボタンを押すと、どのくらいの確率で企業から返信があるのでしょうか?
10件のうち、1件返事があればいいほうだったと記憶しています。人気の案件は数百人のライターがエントリーするので、すべての企業から返信をもらえるわけではないんですよね。
とにかく数を打って、返信をもらったら渾身の提案文を送っていました。
Wantedlyではどんな仕事を受注されましたか?
大半はSEO記事のライティングでした。企業のオウンドメディアでキーワードに沿って原稿を書き、自社商品にコンバージョンさせる記事です。
ジャンルはバラバラだったものの、大手企業から仕事をいただけました。また、この頃からポートフォリオに載せられる記事も増えていきましたね。
仕事の幅を広げて単価アップ! 「勉強するひと手間」を加える大切さ
引き続きSEOライティングが中心でしたが、コンスタントに仕事をいただいて天狗になっている時期でした。「文字単価2円以下の案件は受けません」と言って、横柄な態度を取っていましたね(笑)
そんな調子だったので、新規営業をしてもなかなか受注できませんでした。同じタイミングで複数のプロジェクトが終了を迎えて、収入がガクッと下がってしまったんです。
ゆらりさんにもそんな時期があったんですね。どのくらい下がったのか、収入の推移をお聞きしてもいいですか?
ライター1年目の終盤は月20~30万ほどだったのですが、2年目の最初は10~15万円ほどに下がりました。その後は何とか盛り返しました!
オンラインコミュニティに参加したことですね。
コミュニティ内のイベントに顔を出したり、スレッドに投稿したりと、積極的に活動したら、同業のライターやフリーランス仲間ができました。そこから仕事につながったんです。
具体的には、インフルエンサーのメルマガ執筆やKindle編集※、オンラインコミュニティのライター講師の仕事などを受けました。
※Kindle編集:Kindle(Amazonの電子書籍サービス)の出版をサポートする仕事。原稿の執筆や編集、入稿作業などが主な業務内容。
「他の人ができないことに挑戦すると単価が上がる」ことに気づきました。たとえばSEO記事を書けるライターはたくさんいますが、Kindle編集ができるライターはそこまで多くありません。
わたしの経験上、ジャンルを特化せずにSEO記事を書くと、文字単価は高くても2円ほど。でもKindle編集は文字単価3円以上の金額で発注いただきました。
新しい仕事をするために取り組んだことはありますか?
「勉強する」というひと手間を踏んだのがよかったと思います。
たとえば、Kindleは紙の本に特性が似ているので、本の構成の練り方を勉強しました。学んだ知識を応用してクライアントに構成を提案したら、とても喜んでくださって、見積内容も快諾いただけたんです。
Kindle編集やメルマガ執筆は、それまでやったことのない新しい分野ですよね。チャレンジするのに不安はありませんでしたか?
不安よりもワクワクする気持ちが大きかったです。
それに、ライター1年目のときに何百件と記事を書いたので、「Webライティングの力は既に備わっている! 新しい仕事もできるはずだ」と前向きに考えました。
気が進まなかった講師の仕事。飛び込んだら緊張せず話せるようになった
ゆらりさんはオンラインコミュニティでライティングの講師をしたり、出版社のセミナーに登壇したりしていますよね。講師をやってみてどんな変化がありましたか?
「書く力」だけでなく「話す力」が向上しました。聞き続けてもらえる話し方を研究したり、自分の口癖を見直したりするきっかけになりましたね。
最初は気が向きませんでした。人前で話すことへの不安や「大きな実績のないわたしが話していいのかな?」というモヤモヤする気持ちがあったからです。でも、いただいたオファーを断れなくて渋々お受けしました(笑)
今はVoicy※で毎日音声配信をしていますし、オンラインコミュニティでも顔を出して講義をしていますよね。チャレンジすると慣れるものですか?
※ Voicy:株式会社Voicyが運営する音声配信サービス。
そうですね。今では緊張することはほとんどなくなりました。回数を重ねて話に慣れたからだと思います。
ライティング講師は、あまり他の人がチャレンジしない仕事ですよね。どんなマインドで飛び込めばいいのでしょうか?
まずは少人数でいいので、誰かの前で講義やフリートークをするのがおすすめです。実際に話してみると、少なからず「自分の話から学びを得てくれる人がいる」とわかります。
それに、「体系立てた文章を書ける」のなら「体系立てた話をする」こともできます。
慣れないうちは不安を覚えるかもしれませんが、ライターの仕事で成果が出ているのなら、情報を整理して伝える力を既に持っているはずです。
だから、しっかり事前準備をして、落ち着いて話せば講師の仕事もできます。
マーケティングの仕事をするなら、相手の売上を伸ばすための提案をしよう
ライター4年目の現在はどんな仕事を受けていますか?
SEOライティングやインタビュー記事、ライティング講師、マーケティングのコンサルなどを手掛けています。
この頃から、知り合いからの紹介、もしくはTwitterやInstagramのDMからオファーをいただくことが多くなりました。
ゆらりさんは積極的に営業をしなくても、よくオファーをもらっていますよね。なぜだと思いますか?
日頃からSNSやブログで自分の考えをアウトプットしているから、略歴や性格が垣間見えて「依頼しやすそう」と思ってもらえるのかもしれません。
オファーをくれたクライアントは、ほぼ全員わたしの発信を見てくれています。依頼してくれた理由を聞いたら、「メディアのペルソナに合う記事を書けそうだと思った」「HSPに関する発信を読んで親近感を持った」と仰っていました。
なるほど。ありがとうございます。話しを戻して……先ほど仰っていたマーケティングのコンサルについて、仕事内容を教えていただけますか?
簡単に言うと、企業の新規事業をサポートする仕事です。市場動向を調べてお伝えしたり、売上アップに向けた施策を提案したり、集客支援のお手伝いをしたりします。
どのようにマーケティングの仕事を受注されたのですか?
最初は講師業の依頼がきっかけだったのですが、初回の顔合わせのときに、講義内容をドキュメントにまとめてプレゼンしたんです。
そうしたら「話せる内容がこれだけあるのなら、知見も豊富だと思うので事業のコンサルをしてほしい」とオファーをいただきました。
マーケティングの仕事をはじめるコツがあれば教えていただけますか?
自分の持ちうる知識をかき集めて、「こんなことができます!」と提案することです。たとえば、個人のブログ制作代行を請け負ったときは、記事の執筆だけでなくおすすめのアフィリエイト商品や、売上の導線づくりの提案をしました。
マーケティングの仕事=相手の売上を伸ばすことなので、そのために自分ができることをどんどん提案するのが近道だと思います。
マーケティングの知識はどうやって身につけたらいいのでしょうか?
まずは、今携わっているメディアの「収益化の仕組み」を知ることから始めるといいと思います。
たとえば個人ブログなら、記事内で紹介されている商品のアフィリエイト報酬や、コンサルサービスなどの自社商品が購入されると収益が発生します。
そして、商品を買ってもらうためには、集客記事から収益化記事にアクセスしてもらう導線設計も必要。
このように収益化の仕組みがわかると、自分ができることが明確になります。そのため、これから事業を始めるクライアントに提案しやすくなるんです。
自分自身に影響力をつけたい。幅広く仕事をしてきたライターが次に目指すもの
「自分の意見が載るコラム記事」を書きたいです。今までは、著者の意見が載らない無記名記事をたくさん書いてきたので、もう少し自分を出したいと思っています。
というのも、AI時代にライターの仕事を続けるには、経験を武器にして、自分という「人」に影響力をつける必要があると思うんですよ。
「文章力があるからSEO記事を書いてほしい」ではなく、「こんな経験をしてるからコラム記事を書いてほしい」と言われるライターを目指したいです。
インタビュー記事には、ライターの自分らしさが出ると思いますか?
インタビュー記事では、インタビュアーにスポットライトを当てるのでライターは黒子のようなものです。でも、多少なりともインタビュイーに質問する形で「自分が話す」という行為を挟むので、自分らしさは出せるのかなと考えています。
また、インタビューするうえでの「テーマ設定」と「問い」はライターによって違うため、思想は表れないけど個性は表れるのではないでしょうか。
ゆらりさんには「ゆくゆくは自分らしさを出したい」という思いがあるから、仕事の幅を広げて色々なことにチャレンジできたのかもしれませんね。
次の目標に向けて、今取り組んでいることはありますか?
今度紙の本を出す予定なので、ひとまずは出版に漕ぎつけることが直近の目標です。
本なら自分の思想をふんだんに盛り込めますよね。出版を楽しみにしています!
キャリアの目標がなくても、Webライティングの基礎があればステップアップできる
最後に、初心者のライターさんに向けたアドバイスをいただけますか。
今まで色々な仕事をしましたが、すべてのベースになっているのはWebライティングのスキルです。
これからライターの仕事を頑張る方は、まずSEO記事をたくさん書いてWebライティングの基本を身につけることをおすすめします。
記事を何百本、何千本と書くと「これだけ自分は文章を書いてきたんだから大丈夫!」と自信を持てます。Webライティングの基礎があれば、ディレクションやKindle編集、講師の仕事など幅を広げるハードルが下がります。
ゆらりさんはライターのキャリアを明確に決めるタイプではない印象がありますが、目標についてどう考えていますか?
ざっくりした目標は考えますが、細かく決めるタイプではないです。年初に目標を立てても、年末になったら毎回全然違うことをしているんですよね……。
でも、明確なキャリアプランがなくても、Webライティングのスキルを身につけて目の前の仕事に取り組めば、地続きでステップアップできます。
やりたいことは刻一刻と変わるので、学びや成長できる機会があるのなら、ジャンル問わず色々な仕事にチャレンジするのがおすすめです。
初心者のライターさんや、キャリアに迷っているライターさんにとって、非常に学びの多い時間になったのではないでしょうか。ゆらりさん、本日はありがとうございました!
さいごに
ライター向けオンラインコミュニティ「Webライターラボ」は、今回お話を伺った ”ゆらりさん” をはじめ、たくさんのライターが集まる学びの場になっています。
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