専業主婦から経営者になった理由は「圧倒的なお客様目線」。ママライターのお悩みも聞いてみた!
- 専業主婦でもライターになれるのかな?
- 子どもがいるママライターはどうやって仕事をしているの?
- ママライターのモデルケースを知りたい!
ライティングもして育児もして家事もして……と、目まぐるしい日々を送るママライター。
今回はそんなママライターのお悩みを解決するために、2人のお子さんを育てながら不動産ライター、会社経営をしている ”亀梨奈美さん” にお話を伺いました。
亀梨さんは専業主婦からWebライターになり、現在は不動産ライターやジャーナリスト、経営者として目覚ましい活躍をされています。
亀梨さんの仕事内容と実績
- 株式会社real wave 代表取締役
- 不動産専門記事のライター(集英社様、講談社様、ミサワホーム様、みずほ銀行様など他多数
- 住宅専門紙および新聞紙の記者
- セミナー講師(野村不動産ソリューションズ様)
- 上記の他に、企業のサイト制作支援、コンテンツマーケティング、コンテンツディレクション、動画制作など幅広いサービスを提供中。
今にいたるまでの経歴や取り組んできたこと、ママライターならではのお悩みの解決策を伺いました。
家事や育児、仕事の両立に悩んでいるママライターの方は、ぜひ最後までご覧ください。
目次
ごく普通の専業主婦からWebライターに。今の環境のまま在宅でできる仕事を探した
亀梨さん、よろしくお願いいたします。最初に自己紹介をお願いいたします。
不動産ライター、ジャーナリストの亀梨奈美です。2016年にWebライターの活動を始めて、2020年に株式会社real waveを立ち上げました。
一応代表取締役という立場ですが、いわゆる「ひとり社長」なので、フリーランスのときと活動内容はさほど変わりません。
仕事内容は不動産関係のライティングを中心に、ディレクターや編集者の仕事もしています。
プライベートでは9歳と5歳の2人の娘を育てるママです。
お子さんを育てながら仕事を始めたと思うのですが、Webライターを志したきっかけはなんでしたか?
大きなきっかけは、当時上の子が2歳で保育園に入っていなかったこと。
2歳から保育園に入れるのは現実的ではなかったので、「今の環境のまま家でできる仕事」を探してWebライターにたどり着きました。
Webライターになりたての頃はどんな仕事をしていましたか?
ランサーズのタスク案件から始めて、徐々にプロジェクト案件に移っていきました。
もともと不動産会社に勤めていたので、マンションの紹介記事など、最初から不動産ジャンルの案件をこなしていました。
当時の文字単価は0.8円ほどです。小銭稼ぎのために内職するというスタンスで始めたので、あまり大きな稼ぎは求めていませんでした。
開業と同時に妊娠が発覚! 長女の幼稚園通いが始まり、作業ができない日々
Webライターの仕事を始めて、収入は上がっていきましたか?
プロジェクト案件を始めて3か月くらいで、月収20万ほど稼げるようになりました。そのタイミングで開業届を出したのですが、ほぼ同時に2人目の妊娠が発覚したんです。
月収20万円はすごいですね! 収入が上がったときの話は、後ほど詳しく聞かせてください。
開業と同時に妊娠された後の働き方はどう変わりましたか?
本腰を入れてWebライターの仕事をするのは難しくなりました。
妊娠しているうえに、上の子が幼稚園に通い始めてものすごく忙しくなったんです。「子どもを幼稚園に入れたら仕事ができる」と思っていたのですが、実際の生活は想像の真逆でした。
初めのころは午前保育なので、子どもが9時に幼稚園に行ったと思えば11時には帰ってくる……といった日々が続きましたね。
開業届を出したものの、仕事の時間がなかなか取れず、身重ということもあり、稼ぎは月5万円ほどに下がりました。
小さなお子さんがいると、なかなか作業時間を確保できないですよね。どのように時間をやりくりされていましたか?
上の子が幼稚園に入る前は義理の実家に預けて、幼稚園に入ったあとは、子どもが家にいないときに作業していました。1日3時間ほどだったと思います。
ママライターの方からは「限られた時間のなかで作業するのが大変……」という話をよく伺います。そのあたりのことも後半で伺いたいと思います。
Webライターの仕事は「胸を張って言える職業ではない」と思っていた
次女さんの出産後は、Webライターになるのではなく、企業で働くことを検討されていたと伺いました。当時のお話をお聞きしてもよろしいでしょうか?
契約社員、派遣社員、正社員含めて色々な企業の採用枠に応募しました。最終面接までは行くものの、「出産したばかりです」と伝えるとすべて落ちてしまいました。
一度はWebライターで月20万円の稼ぎがあったと思いますが、なぜ企業で働こうと思ったんでしょうか?
やろうと思えばWebライターに戻れたんですが、当時は現実的じゃないと考えていました。それに「Webライターの仕事は胸を張って言える職業じゃない」というイメージがあったんです。
幼稚園ではママ友と話す機会がよくあるのですが、まわりは専業主婦の方ばかり。
私が仕事のために延長保育を使うと、「子どもを預けてラクしてる」と言われたこともあったんですよね。「ちゃんと仕事をしている」となかなか言い返せなくて、悔しい思いもしました。
「Webライターの仕事=怪しい」と考える方は一定数いますよね。
コロナ禍でWebライターを含めてリモートワークが一般的になりましたが、それ以前は
「家で仕事する=ラクしてる」というイメージが強かったんですよね。
でも企業の面接にことごとく落ちてしまったので「もうやるしかない!」と思って、Webライターとして復職すると決意しました。
ママライターが直面する扶養問題。仕事量をセーブすることのジレンマ
Webライターを仕事にすると決めた後に、何か困ったことはありましたか?
扶養の問題に直面しました。 扶養に入るなら、年収を130万円以内におさめる必要があります。月あたりに換算すると10万円ほどです。
最初は仕事量をセーブしていたのですが、扶養の範囲内に抑えるのがもったいないと思う時期がきました。
「扶養の条件内におさめないと」という気持ちと「もっと頑張りたい」という気持ちが混在するのは、ママライターあるあるですよね。
そうですね。私の場合、結果として扶養から外れることになりました。
記名記事を書かせていただいたり、文字単価が高いプロジェクトに応募したりした結果、月10万円だった収入が40万円になったからです。
その年は次女を生んだばかりで半年ほど休みを取っていたので、年間の売上は扶養内におさまりました。
でも「月40万円のペースが続けば、来年は130万円におさまらないな」と思い、扶養から外れることにしました。
収入がいきなり上がったんですね! 後ほどその要因をお聞きしたいと思います。
亀梨さんと同じように、扶養から外れるか悩んでいるママライターは多いはず。その方々はまず何をしたらいいでしょうか?
扶養の条件は人によって違うので、まずは調べてみるといいと思います。
私は実際にパートナーの会社の総務課や、健康組合に電話をして「この売上額なら扶養内におさまるか?」「いつから扶養を抜けたら手当がなくなるのか?」などを問い合わせました。
直接関係各社に電話して確認したほうがいいのでしょうか?
条件はそれぞれ異なるので、電話して確認するのが一番いいと思います。パートナーに聞いてもらうよりも、自分で電話したほうが早いし、正確な答えが返ってきます(笑)
ママならではの壁を乗り越え、Webライターの月収は40万円に!
ここからはライターの仕事で結果を出したコツについて伺います。
先ほど「収入が月40万円まで伸びた」とおっしゃっていましたが、その要因を教えていただけますか。
ランサーズを使って高単価の案件に応募したからです。それまで文字単価が0.8円や1.2円だったのですが、いっきに文字単価が6円まで上がりました。
すごいですね! ポートフォリオなど見せられる記名記事があったから、高単価の案件に受かったのでしょうか?
ポートフォリオはありませんでした。 それまで3回しか案件に応募したことがなく、1回目と2回目の案件は無記名でした。
実績がない中で、なぜ高単価の案件が取れたのでしょう?
先行者優位が大きいかもしれません。今では不動産ライターを名乗る人はごまんといますが、2018年当時は少なかったんですよね。
今、他のライターさんが同じように高単価の案件に応募しても、一発で選考に通る確率は高くないと思います。
Webライターラボの講義で言われているように、知見や実績を積んでから営業する必要がありますね。
2023年の今は「10回営業して1件受かったらラッキー」と言われることもありますよね。当時と比べると、競争率が上がっていると考えたほうがよさそうです。
ディレクターの仕事はわからないことだらけで苦戦したことも
最初はライターの仕事をされていたと思いますが、その後はディレクションなどの仕事も始められたのでしょうか?
お客さんから依頼をいただいて、サイト制作全般に携わることになりました。ディレクターの方がいたので、私はサブディレクターのような立場です。 でもこの仕事はものすごく大変でした。
他のライターさんの文章を見ることが初めてで、どうやってフィードバックするか悩みました。
さらにサイトのデザイン設計やコーディングの指示出しなど、とにかくわからないことだらけだったんです。
わからないことだらけの中で、どうやって仕事をこなしていきましたか?
ディレクターの方に教えていただいたり、仕事をしながら調べものをしたりして、ひとつずつ知識を身につけました。
当時はWordPressも使えないただの主婦だったので、とにかく時間がかかって大変でしたね。
でもその経験があるから、現在はディレクションや動画制作、サイト制作の仕事など幅広い案件を請けられています。
ライターやディレクターが目標を共有することの大切さ
亀梨さんが他の人と仕事をする際に、何か気をつけていることがあれば教えてください。
相手と同じ目標を共有することです。 その目標を達成するために、記事のフィードバックや編集をするよう心がけています。
「同じ目標を共有する」とはどういうことでしょうか?
例えばライターが
「記事の修正依頼をゼロにする」と目標を立てても、ディレクターは
「売上の向上」を目標にしている場合があります。
このようにそれぞれの目標が違うときは、ディレクターがライターの視野を広げないといけません。
メディア全体の目標は「記事の修正依頼をゼロにすること」ではなくて、売上の向上だからです。
今の話は、ライターとお客さんの関係にも通じそうですね。
そうですね。
ライターがお客さんの目標を知ることは本当に大事です。 執筆する記事の目的がわからないのなら、どんどんお客さんに聞くべき。
記事の目的はブランディングなのか? PVを稼ぎたいのか? 商品を売りたいのか? このように、同じメディアの記事でもそれぞれ目的が違うんですよね。
ライターやディレクター、クライアント、それぞれが同じ目標をシェアすること。
この話を聞いて「できてなかったな」と思う人も多いのではないでしょうか。私自身にも大きな学びになりました。
大切なのは圧倒的なお客様目線。相手に利益をもたらす気持ちを持とう
ここまでの話を聞いて思ったのですが、亀梨さんはお客さんの目線に立つのが上手だから、継続依頼が多いのではないでしょうか?
自分で言うのもなんですが、めちゃくちゃお客様目線なんですよ(笑)
自分の利益を度外視して、仕事に取り組む姿勢がいいのかもしれません。
素晴らしい心がけですね。ライターを始めた当初からそういったマインドは持っていましたか?
「この人に利益をもたらすぞ!」という考えは、Webライターを始めてからの7年間、ずっと持ち続けています。
基本的にクライアントに欲を出したことはなくて、単価交渉もほぼしたことがありません。そこも継続依頼をいただけるポイントかもしれませんね。
そのモチベーションはどこから湧いてくるのでしょうか?
家にいながら文章を書いてお金がもらえるのは、すごくありがたいことだと思います。そのポジションを何とか維持したい、という気持ちが強いのかもしれません。
今の環境に感謝しながら相手に貢献する気持ちを持つことが、Webライターが成果を出す近道かもしれないですね。
亀梨さんはほとんど営業されていませんよね? 今抱えている仕事の依頼は口コミや紹介がきっかけでしょうか?
今まで営業は3回しかしたことがありません。
現在いただいている案件は紹介がほとんどで、ときどき記名記事経由でコーポレートサイトにお問い合わせをいただきます。
営業をしていないのに、なぜ新規の依頼が途絶えないのでしょう? 秘訣を教えていただけますか。
目の前のお客さんを大切にすることに尽きます。私自身、1人の方から何人のお客さんを紹介してもらったかわかりません。
もちろん「営業するな」とは言いませんが、営業する暇もないくらい目の前の仕事に全力を注ぐ。
そのくらいの熱量を持って取り組むと、自然と他の案件をいただけるようになると思います。
ママライターのお悩みに切り込む! 限られた時間のなかで作業するコツは?
ここからは、事前にママライターからいただいた質問をピックアップして、亀梨さんの考えを伺いたいと思います。一番多かったのは
時間のやりくりに関する質問です。
「子どもがいると、作業したくても深夜や早朝しか時間が取れない。限られた時間のなかでどう仕事をすればいい?」といったお悩みが多く寄せられました。
余裕をもって案件を受けることが大切だと思います。当たり前ですが、忙しくても納期に遅れるのはNG。
私自身も子どもが小さい頃はなかなか作業ができませんでしたが、自分の稼働時間内にこなせる量しか受けなかったので、納期に遅れたことは一度もありません。
最初のうちはこなせる量がつかめない方もいると思うので、徐々に仕事量を増やしていくのがいいんじゃないでしょうか。
自分が書ける量に合わせて、仕事に取り組むことが鍵になりそうですね。少しずつ案件をこなしていくと、例えば「1時間に500文字書ける」といった目安がわかると思います。
今ある環境、確保できる時間内でこなせる仕事にチャレンジしよう
先ほどの質問とつながりますが、次に多かったのは「時間がないから新しい案件に応募するのがこわい」という質問です。
お子さんが突発的に病気になることが多いので、インタビュー案件や短納期の案件にチャレンジできない……相手に迷惑をかけてしまうかも……という内容ですね。
こわいと思う案件には、チャレンジしないほうがいいと思います。私の場合、今は9歳、5歳と子供が大きくなったので「インタビューをするから部屋に入っちゃだめだよ」と伝えれば、言うことを聞いてくれます。
でも子どもが小さいうちは同じようにはいかなかったので、子どもがいる時間帯はインタビュー案件を受けませんでした。
子どもが幼稚園や学童などに行って、自分の仕事時間が確保できるならチャレンジしてもいいと思います。
状況に応じて、受けられる仕事の量や種類をうまく見極めることが大事になりそうですね。
そうですね。少し体育会系の話になりますが、一度自分のキャパシティを超えてみるのもいいと思います。
寝ないで夜通し仕事をしてみると、自分の限界がわかるんですよね。そういった経験があると一皮向けることもあります。ゴリゴリ体育会系のやり方なので、万人にはおすすめしませんが……(笑)
なるほど(笑)一度やってみると自分の作業量の限界がわかるかもしれませんね。
仕事に対する家族のスタンスは人それぞれ。理解を得るには時間がかかる
家族のスタンスに関するお悩みもいただきました。
「パートナーがWebライターの仕事に対して良い印象を持っていない。Webライターを仕事だと思っていない……」といった内容です。
人によって考え方が違うので、これといった解決策を提示するのは難しいですね。理解を得るのにどうしても時間がかかると思います。
参考までに私のケースを話すと、働き方が変わるにつれて、徐々にパートナーが理解を示してくれました。
Webライターを始めたての頃は、パートナーからネガティブな言葉をかけられたことはないものの、肩身が狭い思いをすることもあったんです。
でも収入が上がったり、法人化したりと私の状況が変わっていくにつれて、家族のスタンスも変わりました。
本当に少しずつですが、仕事のことを理解してもらえて、今ではパートナーが子育てや家事に協力してくれるようになりました。
パートナーのスタンスを変えるのは本当に難しいですよね。根気強く向き合う姿勢が大事なのかもしれませんね。
ママならではのモヤモヤ。でもそんな働き方を選んだのは自分自身
「ママライターはモチベーションを保つのが難しい」という質問もたくさんいただきました。
「いざ作業するぞ! とパソコンを開いたら、子どもがきて作業に集中できない。面倒を見れるのは自分だけなので相手をするしかなく、その流れでモチベーションが下がる……」という内容です。
気持ちはとてもよくわかるのですが、解決法はなくて、受け入れるしかないと思います。子どもを無視したら罪悪感が湧いてくる。かといって一緒に遊んだら作業時間は取れない。どちらも仕方のないことですよね。
ママが子どもの面倒を見る文化は、今の日本にはまだ根強く残っています。
私も昔は「パパは外で働いて、好きなときに飲みに行ってずるい!」と思っていました。でもそう考えてもしょうがない、と今は割り切っています。
モヤモヤする気持ちがあるのは仕方のないことなんですね。
子どもが小さいなかで「在宅で仕事をする」と決めたのは自分自身。冷たく感じられるかもしれないけれど、ママさんはみんな共感してくれるんじゃないでしょうか。
今の状況を受け入れつつ、できる範囲で頑張って仕事をするのがいいと思います。
ママライターは優秀なのに自己肯定感が低い。適正価値を知って自信を持とう
亀梨さん、ここまでさまざまな話をしてくださりありがとうございました。最後に頑張っているママライターへメッセージをお願いします。
ママライターの皆さんは、もっと自信を持って大丈夫です!
「専業主婦だった自分がこんな案件に応募していいのだろうか」「自分にこれだけの報酬をいただく価値はあるのだろうか」と、自分を過小評価する人がたくさんいます。
総じて優秀な方が多いのに、すごくもったいないことです。
自分の適正価値を見極めましょう。自分が優秀だと気づくためには、市場を知らないといけません。例えばライターとして執筆してもいいのですが、できれば編集者になって色んな人の文章を見てみるのがおすすめです。
他の人の文章を見ると、自分の適正価値がなんとなくわかります。「私の単価、もっと高くてもいいのでは?」という感覚が生まれることもあります(笑)
1人で仕事をしていると、自分の価値がわからなくなってきますよね。他の人とあえて比較するといい影響を得られそうですね。
Webライターラボの添削会に応募してフィードバックをもらうのも、非常にいい経験ですよね。
色々なことに挑戦して視野を広げると、自分に自信がついて、ママライターさんは成果を出せると思います。
ママライターの皆さんは自信を持って仕事に取り組んでいきましょう! 亀梨さん、本日はありがとうございました!
さいごに
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