- シナリオライターってどんな仕事?
- シナリオライターに向いている人は?
- 現役シナリオライターの話を聞いてみたい!
Webライターのなかには、このような悩みを持つ方もいるのではないでしょうか。
そこで今回は、シナリオライターの “つむぎ澪さん” (以下、つむぎさん)に話を伺いました。つむぎさんは歴6年目で、YouTube動画のシナリオライターとして活動されています。
これまで納品したなかで、もっとも再生された動画は700万回を超えているそう。
シナリオライターという仕事のおもしろさや、初心者が仕事を始めるコツを教えていただきました。
インタビュアーは “冨田裕子さん” です。
興味のあるかたはぜひ最後までご覧ください。
シナリオライターとは? もっとも大事なのは「リアリティ」
シナリオライターと一口に言っても、ゲームシナリオ、漫画の原作、動画の台本などさまざまな制作物があります。
私はそのなかでも、YouTube動画のシナリオを書く仕事をしています。
私が携わっているのは、本や映画などの作品を解説する動画や、ストーリーにそって進む漫画動画の台本です。
たとえば、「夫婦仲が悪くて、耐えかねた妻が家を出てしまう」のようなテーマです。
それにそってプロット(物語の構想)を考えて、一旦クライアントに提出するんです。その内容でOKが出たら、シナリオに起こす段階に入ります。
シナリオを書くときは、シチュエーションや登場人物のセリフ、場面の切り替わりなど、動画の骨子になる部分をシナリオに落とし込みます。
台本のサンプル画像
たとえば、夫婦間のすれ違いについて書くのなら、こんなイメージです。
こんなストーリーだったら、私自身が「そういう状況ってあるよね……。お母さんの立場だったらモヤモヤするよね」と思いますし、続きが気になってしまいます。
漫画動画に限った話ではありませんが、作り物っぽくなってしまうと、途端に話がつまらなくなる気がするんですよね。「つまらないな」と思われたら、視聴者は一瞬で離脱してしまいます。
たとえば「今日もよく寝たなぁ。今日のご飯なんだろう?」という主人公のセリフがあったとします。でも、実生活ならそんなこと声に出して言いませんよね。頭のなかで考えるだけです。
このように、実生活でも言わないようなセリフは思い切ってカットします。
他人に不満があったとしても、相手にはっきりと意見を言える人はあまりいないですよね。
でも、ドラマの登場人物がスカッとするセリフを言っていたら「かっこいいな!もっと続きを見たいな」と思うのではないでしょうか。
そういった気持ちが視聴を続ける動機になると思うので、感情移入したくなるようなシナリオをつくりたいですね。
もちろん私は体験したことがないので、犯人の気持ちを予想するのは難しいです。
でも、個人ブログやニュースなどを調べると、誰かしらが事件の考察をしています。
嬉しいことや悲しいこと、辛いこと。どんな出来事にも人間の感情がついてまわります。
そんな心の動きをどれだけ鮮明に伝えられるかが、シナリオライティングでは鍵になるかなと思います。
シナリオライターになったきっかけ
すると、たまたまなのですが、納品したシナリオの動画が一晩で70万回再生されたんです。もちろん私のシナリオだけの力ではないのですが、それで自信がついて、今も続けられているという状況です。
先輩と合作で書いた台本が予想以上に評価されて、県大会で上演されて、たくさんの人が鑑賞してくれました。
そのときに「こんな台本をつくれば喜んでもらえるんだ」というのがなんとなくわかったんです。その経験はシナリオ制作に活きている気がします。
一般的な台本には、登場人物の名前とセリフが書いてありますよね。そのような様式がわかっていれば、未経験でも大丈夫です。
シナリオライターのリアルな単価事情!
正直、シナリオライティングはそこまで単価が高いわけではありません。そもそも1本の動画をつくるのに莫大なコストがかかります。
シナリオライティングは全体のごく一部の工程なので、単価が安いのは仕方ないかなと思っています。
たとえば、10分前後の動画の場合は6,000文字くらいが一般的です。
8分以上の動画だとYouTubeでの広告条件がよくなるので、そのくらいの尺を好むクライアントもいます。
他のライターさんに仕事を割り振ってシナリオを書いてもらって、上がってきたらチェックして修正して……と、流れは他の案件と同じです。
ただ、ディレクターが直すポイントは他の記事とは少し違いますね。視聴者が没入できるように内容を整えるのが、シナリオのディレクションでは重要かなと思っています。
私がディレクターだったときは「ストーリーが成立しているか」と「続きが気になるか」を重点的にチェックしていました。
初心者がシナリオライターになるなら「サンプルシナリオ」が大事
たとえば、漫画を読みながら「この登場人物はこんなことを考えていたんじゃないか? もしそうだとしたら、次のシーンはこうなるのでは?」のように、脳内で妄想を始めるタイプの人にはおすすめです(笑)
セリフだけでなく、登場人物の動きや周りの状況、シーンの切り替わりなども気を付ける必要がありますね。
こうした話を聞くと難しく感じられるかもしれませんが、向いている人ならわりとスラスラできると思います。
シナリオライターがつくる「台本」は、作品の原形でしかありません。映像や音声がついて、はじめて完成形になるので、そこがこの仕事の醍醐味であると同時に、何よりのご褒美でもあります。
ネットで調べればテンプレートが見つかるので、書き方のイメージをつかめますよ。
ちなみに、この業界はかなり狭いので、知り合いが増えれば仕事の依頼をいただける可能性は上がります。
そうした活動を続けた結果、今は営業しなくても伝手で新規依頼をいただける状況になっています。
SNSを使って仕事関係者と関係を増やしていくアプローチもおすすめです。
シナリオライターのその先のキャリアは?
たとえば、私のような動画の台本をつくるシナリオライターにとっては、Webtoon※で漫画の原作をつくることも選択肢になります。
人気作品になれば、アニメや映画、ドラマになる可能性もゼロではないんですよ。
※Webtoon(ウェブトゥーン):スマホで読めるデジタル漫画。フルカラー、かつ縦読みであることが大きな特徴。
自分でつくったストーリーが動画になるのは、とてつもない達成感があります。
もしそんな経験をしたい人がいらっしゃったら、足を踏み入れてみてはいかがでしょうか。
さいごに
オンラインコミュニティ「Webライターラボ」は、今回お話を伺った ”つむぎ澪さん” をはじめ、豊富な実績を持つライターが集まっています。
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ゲスト:つむぎ澪
インタビュアー:冨田裕子(@ootsuu8376)
ライター:ゆらり(@yurarigurashi)